データセンターは公害か


データセンター(DC)が話題になることが増えました。しかしギャップがあるようなので情報を整理しました。

特に問題となる設備

データセンターにはサーバだけあるわけではありません。冷却設備と電源、非常用含めたディーゼル発電機が問題になりやすいです。

騒音/低周波/振動

サーバというより冷却設備と電源設備の騒音です。低周波は外部に長くいないと影響を感じにくいでしょう。

排熱

特に夏場は影響が無視できなくなります。温暖化やヒートアイランドに埋もれがちですが、局所的には負荷を増やす方向に働きます。

臭いと危険なガス

主に非常用ディーゼル発電機から発生します。ここでポイントとなるのが、定期試験運転は法令や保守要件により不可避であり、月次・年次で実施されることです。短時間であってもイベント性が高く、騒音・排ガス・臭気として住民に知覚されやすい点が特徴です。消防法で求められた負荷試験にもなればさらに負荷をかけて動かすことになります。

(消火用のガスもありますがこれは他の建物でも変わらないので除外)

雇用

立ち上げ期はともかく、運用は少人数です。地域によくある誤解として、Googleのソフトウェアエンジニアのような良質な雇用が多数集まるという期待があります。実際は契約業者に作業を任せますし、人数も少なく、そもそも人員はソフトウェアエンジニアではありません。効果は限定的です。

不透明

セキュリティ上の必然もありNDAが多くなります。しかし住民から見ると説明がない施設になるでしょう。

日本でのデータセンター建設の地域メリット

日本の場合固定資産税による税収アップは間違いないです。日本では基本的に誘致のために税金を今のところ使ってないので黒字でしょう。印西市の事例がわかりやすいですね。

あまり日本では問題にならなそうな項目

海外では議論になっても日本ではそこまでではないという項目もあります。

現時点では、日本の電力系統は比較的安定しています。また電気代が変動制ではないので住民が電気代増加に巻き込まれることもないでしょう。※ただし、DC密集地での「変電所容量の奪い合い」という産業的な制約は出始めています

空冷式が多く、水利用は相対的に少ない傾向があります。高湿度環境では蒸発冷却の効率が出にくいことも一因と考えられます。

DC誘致のために税金を使う底辺への競争も発生していません。

なぜ一部のオンプレエンジニアは反対運動に理解を示さないのか

仕事場への認識

住民から見れば、巨大な電力消費施設・排熱施設・非常用発電機施設ですが、エンジニアから見ると「ラックがある場所」です。視野がラック内・ケーブル・手順書・入館申請に閉じがち。日本のオンプレエンジニアはデータセンターを「入館する場所」として見ていて、住民は「押し寄せてくる産業施設」として見ている。

データセンター特有の音、温度、湿度も慣れてしまえば背景に興味はなくなるでしょう。

時間の流れの非対称性

基本的になにかあるとき、日中に訪問するだけの人が多いので、24時間365日向き合う住民感覚とはずれるでしょう。データセンターは24時間稼働です。たまにいくだけなら問題を感じにくい。

職能ギャップ

サーバやラックに詳しくてもファシリティは専門外です。建物の建設、設計や保守をしているわけではないので。そしてファシリティを担当する専門家は特定企業にいるごく少数でしょう。レイヤーが異なるので触る機会も見る機会もありません。

コロケーション型としてよくある、DCのラックやスペースを借りるだけのタイプならなおさら無関係です。電源・空調・発電機といった設備は完全に外部化され、問題認識が生まれにくい構造になります。

都市型DCの特殊性

大手町にあるような都心型データセンターは地下にあります。騒音振動などは減衰され、景観は関係なく、排熱も都心に紛れて気づけません。そのため都市型しか知らなければ反対への理解は難しいでしょう。

結論

海外よりは問題が発生しづらいのは幸いですが、それでも問題は必ず発生します。押し付けではない本物の住民理解やコミュニケーションが必要かと思います。